こんにちは、あぷもにです。
・どうしてあの子は忘れ物ばかりするのだろう?
・忘れ物ってどうやったらなくせるの?
・あるいは忘れ物をへらす効果的な方法は?
こんなこと、感じたことはありませんか?
日々、子どもたちの忘れ物のを多さに驚き、ため息が出たり、イライラをぶつけてしまったり・・・。
なんとか忘れ物をなくさせようと、保護者に連絡したり、罰則ルールを作ってみたり、怒りをぶつけてしまったり。
そんな経験はありませんか?ありますよねw
学校生活の中でたくさん出くわす「忘れ物」。15年以上小中学生と関わってきた経験から、どうすればいいのか?の例を示します。
結論、子どもの忘れ物は働きかけ次第でへらすことができます。
何かのヒントになったり、共に考えるきっかけになると嬉しいですね。
子どもが忘れ物をしてしまう要因
子どもの忘れ物をへらすためにできること
子どもが忘れ物をしてしまう要因

「忘れ物」をしてしまう要因はいくつかありますが、そもそも忘れ物をしたくてしている子は1人もいないということです。
わざと忘れ物をしても、本人にとって良いことはほとんどありませんから。まれに、忘れること・持ってこないことで、自分の嫌なこと・苦手なことを回避しようとする行動があったりましますが。
それでは、忘れ物をしてしまう要因をいくつか考えてみましょう。
要因1:子どもの周囲の環境

忘れ物が多い要因として、家庭環境が挙げられます。
- 家の中が散らかっていて、どこに何があるかわからない
- 保護者が夜遅くまで仕事で夕方コミュニケーションの時間がない
- きょうだいが多く、雑多になったり、ものが入り混じったりする
これらは本人に起因する要素ではなく、環境によって忘れ物が多くなってしまっている事例ですね。
つまり、この要因の場合は、子どもを責めても全く意味のないことをしているということです。むしろ子どもをより追い詰めるだけで改善に向かうより後退してしまう可能性すらあります。
要因2:子ども本人の特性によるもの

例に挙げると、発達障がい等により周囲の支援を必要とする場合ですね。
この場合は家族や先生たちが組織として支援していく必要があります。
難しいのは、いわゆる”グレイゾーン”の子。ADHDやLD、アスペルガー症候群など広汎性発達障がいに類するものの特徴を持つ子です。今や7人に1人ともいわれています。
子どもの忘れ物を減らすためにできること
子どもが忘れ物をしなくなる、あるいは少なくなるためには、環境を整えてあげる必要があります。自助努力だけではどうしようもない、何か手を打たなければいけない、ということですね。
忘れ物に対する、効果の薄い対処法

- ①忘れ物を数える(罰則を用意する)
- ②忘れ物がなくなれば遊べる(ご褒美を用意する)
- ③連絡帳に自分で書く(周囲に知らしめる)
などでしょうか?しかし、このどれも実は、効果が薄いです。
①忘れ物を数え(罰則を用意して)ても、忘れ物が多い子にとっては途中から3つも4つも同じになります。そして教師や大人はその姿を見て余計腹をたてるんですねw
②一方、ご褒美作戦を使っている保護者の方や先生もおられるかもしれません。もしかすると一定の効果をあげているかも。
けれど、これにも動じない強者wも多い。2回目以降は慣れてしまって終わりです。そして何より、この方法は忘れ物が多い子が周囲から針のむしろにされる可能性を含んでいるんですんね。強者なら動じませんがw(2回目)
ある子にとっては意味がほとんどなく、ある子にとってはみんなに責められてトラウマになっちゃうかも??
③親に知らせる目的であったり、自分が家で見たときに自分で気づけるようにしたり、と 連絡帳に書かせる実践を行っている先生方もおられるでしょう。しかし、先生と同じで、いやそれ以上に親は我が子の忘れ物の多さに困っているのです。
つまり、親からすれば忘れ物をしているなんて百も承知。可愛い我が子を嘆かわしく思いながら、担任の先生にまで後ろ指さされるのです。
非常に心苦しいですよね。また、忘れ物が多い子は、決して家で連絡帳なんて見ません。見る習慣があるなら忘れ物なんてしないですよw
また、親の立場で周囲に知らしめようと忘れ物のことを書くなりしても、やはり効果はありません。結局誰かが何かをやることは、自分ごとではなくなってしまっているのです。
結局①〜③は根本的な解決にはなっていないのです。
子ども自身や周囲に追い打ちかけても効果は限定的
やっぱり忘れ物ってなかなか少なくならないですよね?
普段を思い返してみて、次の一手、どうしますか?
先生なら保護者に電話連絡したりしますか?
次によくある対処法として、連絡帳に書かせても改善されない場合などに使われます。放課後等に電話で家庭連絡をするのですね。
「忘れ物が多い」という用件で電話連絡するということは、個人的にはあまりおススメできる対処法ではないです。電話することの意味、についてはまた詳細をお話ししたいと思います。
電話連絡をしたとして、保護者はわが子のことですから、それは必死に見るようになるでしょう。しかし、いつもいつも、毎日毎日と、そういうわけにはいきません。
だって、「忘れ物してない?」「本当に!?」なんて、聞く方も聞かれる方もとっても嫌な気持ちになりますよね。
これじゃ、親も子も疲弊して当たり前です。しばらくたって、また忘れ物が復活してしまいます。

罰則を用意しても、ご褒美を用意しても、周囲に知らしめようとしても効果は薄い
では、どうすればよいのか?先生向けの例として示していますが、親の立場としても効果的な方法を示しています。ただ、学校と保護者双方の協力は必要になりますね。
具体的方策A:子どもの「持ってくる物(持っていく物)」を減らそう

先生達がよく行っている実践例①で示した、「忘れ物の数を数える(罰則を用意する)」ことで、もしかすると効果のある子もいるかもしれません。
また、②のように、ご褒美をぶら下げることで周囲の圧力から(?)一時的に改善が見られるかもしれません。
さらには③のように、連絡帳に書いて一定の効果のある子もいます。
付け加えたように、保護者に連絡して効果を発揮することもあります。
じゃあ、もうそれでいいじゃん!って思うかもしれませんが、これで効果の上がるような子たちは、もともと自助努力のできる子であったり、保護者がとても丁寧に見ている場合ですね。長期的・根本的な解決ではなく、短期的な結果でしかないのです。すべての子・すべての家庭に今後一切の明確な改善を求めるのはいささか酷です。
では、具体的にどうすればいいのか?
そもそも持ってくる物をへらしましょう
○○の教科書、○○のノート、資料集、その他・・・とにかく持ち物が多すぎるのですね。
つまり、簡単な解決策は置き勉をすること、です。これに尽きます。
置き勉禁止!なんて昔からよく耳にしますが、なぜダメなのでしょう?
- 家で予習復習しないから?
- 宿題がわからなかったら調べられないから?
- 学校に置いておくと紛失・盗難等の可能性があるから?
でも、置き勉を禁止しなくてもいいんじゃないでしょうか?
- 多くの子は復習を、ましてや予習なんてほとんどしないですよね?予習復習したい子だけが持って帰ればいいんです。
- もし宿題がわからなかったら?そのときは、おそらく親や兄・姉に聞くでしょう。それも難しい場合、現代の子ども達はスマホやタブレットで調べるんじゃないでしょうか?
- 学校に置き場所を作って、教室を出る際はしっかり施錠をすれば問題ないはず。そもそもきちんと施錠の習慣があれば問題ないでしょう。
というふうに考えると、「置き勉禁止」は悪しき伝統のような気がしませんか?これからは置き勉を解禁してしまいましょう。

子どもの忘れ物は減るし、負担も減ります。こんないいことはありません。
もし、学校組織として「置き勉禁止」になっているなら、是非とも改革の提案をしていきましょうね。一筋縄ではいかないかもしれませんが、応援しています。
保護者の立場からも、「置き勉」について学校側と話す機会があっても良いですね。
「持ってくる物」をへらそう(置き勉解禁)
具体的方策B:忘れ物をしないための中期の見通しを持たせよう

基本的に学校からの連絡は直前のものが案外多いです。

・明日、図工でペットボトルを使います
・明日新聞紙を持ってきてください
・個人懇談の希望を今週中に記入して提出してください

・ペットボトル捨てたとことだよー
・うち新聞紙とってない・・・
・シフトの調整が。。。
こんなことが実はよくあります。
仕方なくコンビニ走ってお茶や新聞を買ってきたり・・・つまり、連絡することが遅すぎるのです。
先生の立場としては、早め早めの連絡を心掛けましょう。
必要な道具は遅くとも前週にすることで、ずいぶんと忘れものが減ります。
私の実践例として、翌週の予定(時間割など)をすべて知らせるのも効果がありました。つまり、それを見て子どもたち自身が、’何が必要か’をしっかり見通すのですね。
その習慣が身に付けば、忘れ物は自然と減っていきました。
家庭の場合でも、予見されるものはできるだけ中期的な見通しを大切にしてください。
中期の見通しを持たせよう
これら具体的方策のAあるいはBを実践してみましょう。もしくはA・Bともに行ってもいいかと思います。
忘れ物が多い子どもたちへの対応と心構え

最後に、具体的に実践していくための対応と心構えについてお話しします。
ポイント①:自分(親・担任)の責任だと思わないこと

子どもたちの「忘れ物」に対して、大事なポイントがあります。
決して自分(親・担任)の責任だと思わないことです。最終的に忘れるか忘れないかはやはり子ども自身です。
親や教師が「忘れ物」に対してできることなんて限られていますし、いつまでも面倒を見きれるものでもありません。
力及ばず、としてしまえばそこまでですが、何より自分を責めないことが大切です。
自分の責任だと思わないこと
ポイント②:長い目で見てあげて

「忘れ物」は結局本人が気付かないと(忘れ物をしないでおこうと思わないと)なくならない。意識しないと少なくならないんです。
これ重要です。もう一度言いますねw
「忘れ物」は結局本人が気付かないと(忘れ物をしないでおこうと思わないと)なくならない
大人の自分だって忘れ物をしますよね?
だから、無理矢理なくさせようとするのではなく、長い目で見て待ちましょう。
もしかしたら担任している1年間では結果が出ないかもしれない。学校を卒業するまで改善されていないかもしれない。
親からすればいったいいつまで・・・と気が遠くなるかもしれない。
それでも、いつかは少なくなると信じて、その種をしっかり蒔いておきましょう。
大切なことは短期的な結果を求めないこと。そして結果を焦るあまりに、子ども本人の自尊心を傷つけたりすることのないように。
長い目で見てあげて
ポイント③:となりのクラス、となりのあの子と比べない

自分の学級に忘れ物が多いとき、ついついとなりのクラスと比べてしまいがちではないでしょうか。

なんでとなりのクラスは忘れ物が少ないのだろう?

どうやったらうまくいくんだろう?
実際、となりのクラスの先生が上手にされている場合はあります。
「何か具体的にされてますか?」と直接聞いてみるのもいいですね。遠慮なく聞けるのは、もしかしたら若手の特権かもしれませんが。でも、聞いちゃいけないと思わず聞いてみるのがいいですね。
親からすると、知り合いの「◯◯ちゃんは忘れ物もせずにしっかりしているのに・・・」なんて思う物ですよね。
やはり欠点は見えやすく、比べてしまいがちです。
そうして比べて自分を卑下する必要はないんですね。だって目の前の子どもたちはみんな個性があって1人ひとり違う存在なのですから。そして、集団も違います。
「忘れ物」が多い、あるいは減らない・なくならないのは、その点においては苦手なのでしょう。
一方、となりのあの子よりもきっと得意なことや、すごいこともありますよね?それが個性ということです。
だから、忘れ物が多いからダメ、少ないからいい、なんて一概に決められるものではないと思いませんか?
となりのクラス、となりのあの子と比べない
ポイント④:「当たり前」にほめること

できる子にとっては「忘れものをしないこと」は当たり前のこと。だから先生や親からその子たちに特には何も言われない。けれど、「忘れもの」が多い子が忘れなかったら褒められる。
これって、何か不公平じゃありませんか?不自然じゃありませんか?
「当たり前」にできていることをしっかりとほめましょう。

忘れ物が少ない子を褒める?それが忘れ物を減らすことにつながるの?
子ども達は、先生や親(大人)が思っている以上に周囲のことをよく見ています。忘れ物が多くて叱られている姿も、忘れ物をしなくて褒められている姿も。
学校の場合は周囲の子と、ご家庭の場合はきょうだいと、どうしても比べて(比べられて)しまいますからね。
忘れ物をしてしまったら → 叱られる
忘れ物をしなくて → 褒められる
子ども達にとってどっちがいいと思いますか?そして、どちらの方が、「今後」より「自主的に」忘れ物をなくそうと考えると思いますか?
つまり、普段何気にスルーしてしまっている先生や親のその行為こそ、忘れ物が少なくなっていくための1つの種蒔きとなるのです。
すべての子を肯定的に見て、「当たり前」にほめてみよう
少しだけ付け加えるなら、「忘れ物」だけに特化せず、あらゆることの中で子どもたち1人ひとりについてほめられるところを見つけましょう。
忘れ物をしてしまう子も、得意なことやできることがいくつかあります。何も見つからない、なんて言わずに見つけてあげてくださいね。
それが教師の仕事でもあると思います。
それが親としての本懐であるとも思います。
どんなに忘れ物をしても、いいところを見てほめてあげてください。
また、子どもたちをほめれるようになれば、きっと自分のこともほめられるようになります。
自分自身の成長を感じて、モチベーションが上がったり、次へのステップになったりします。
困り顔の先生から、笑顔の先生・笑顔の親(大人)になりましょう!
小さなことをほめられる自分に
まとめ
- 家庭環境や本人の特性によるものであるかどうかを確かめましょう。
- 今までの効果がないやり方や、罰することをやめましょう。
- 持ってくる物をへらしたり、中期の見通しを持たせましょう。
- たとえ今すぐ変わらなくても、そしてとなりのクラスと差があっても、自分の責任を感じる必要はありません。
- 小さな「当たり前」をほめて、種を蒔きましょう。
- 先生自身が笑顔になりましょう。
- 家庭環境に原因がないか確認しましょう。
- コミニュケーションをとる時間を確保しましょう。
- 過度に叱らない、ご褒美で釣らない、辱めない。
- 中期的な見通しをもたせましょう。
- となりのあの子と比べないで。
- 少し苦手なだけで、いいところはたくさんある。
- 当たり前にできたことを褒めましょう
- 親や大人自身が笑顔になっていきましょう。
嘆いたり怒ったりする前に、今できることを1つずつ試してみることをオススメします。
1歩でも前に進むために、共にがんばりましょう!
コメント