今年はコロナウイルスの影響により、何かと制限された中でのほんのひとときの冬休みですね。
あけましておめでとうございます。あぷもにです。
クラスの子ども達に年賀状を書かないと…と思いながらもなかなか手が進まないなあ、なんてことありませんか?
まだ、クラスの子達に年賀状を書いていないよ、という人。
クラスの子達から年賀状来たけどどうしよう?という人。
どうしても書かなきゃだけど、面倒だし、お金ももったいないし…という人。
十数年教師生活をしてきて、年賀状に際して出合った様々なトラブルや具体的な対応までを元に、どうすればいいかを少しでもお伝えできればと思います。
クラスの子ども達に年賀状を出したことによるトラブル
個人情報保護の観点による事例
トラブル事例①「写真をのせられるのは嫌だった…」
新任教師の頃、となりのクラスのベテラン先生が年賀状を出す、とのことだったので、私も出すことにしました。
全ては見よう見まねですね。
となりのクラスの先生と同じように、運動会でのクラス写真をのせることにしました。
(きっと子ども達もよろこんでくれるにちがいない)
そう思って意気揚々と年賀状を出し、迎えた新学期
思っていた通り、「先生年賀状ありがとう」「年賀状うれしかったよ」という声が多く聞かれました。
けれどその話題の間、浮かない顔の子が1人いました。
休み時間に尋ねてみると、「年賀状はうれしかったんだけど、写真をのせられるのは嫌だった…」と言われました。
よく写真を見てみると、目をつむってしまってたんですね。
全員集合の写真を素人が撮るわけですから、1人や2人が目をつむったり横を向いたりなんてことはよくあることです。
被写体が子どもということもありますし。
とはいえ、本人からすればそのことがとても嫌で、またその写真がクラス全員に送られていることに少なからずショックを受けているようでした。
よく見ないと気づかないレベルではありましたが、同様の事態は起こる可能性は決して低くないと感じました。
その子には深く謝り、やはり写真を載せるべきではないと強く思いました。
トラブル事例②「現住所情報の私的流用だ!」
この例はどちらかといえばクレーム体質の保護者だったからかもしれませんが、それなりに大きなトラブルになってしまった例です。
例年のように年賀状を書こうと思い、裏面のイラストを決め、学校で残業で宛名面を仕上げることに。
住所録を見ながらなんとか完成させ、あとは投函すれば元日には届く、と満足げになっていました。
年が明けて新年、始業式の日に学校に1本の電話が。
クラスの児童の保護者から私宛のもので、何やらご立腹の様子。
よくよく話を聞いていくと、「なぜ、年賀状が家(クラスの子どものご自宅)に送られてくるのだ」という内容。
「住所はなぜ知っている?うちの子は聞かれていないと言っている。まさか学校に提出している住所録を使ったのか?」
「その住所録は年賀状なんかの用途のために知らせているものではない。これは現住所情報の私的流用に当たりますよ!」と。
お話をしっかり聞いた上で、事情をよく説明し、謝罪の上なんとかご納得いただけました。
委員会の方にもクレームが入っていたそうで、あとでお叱りも受けました。
全てがこのようになるとは思いませんが、注意すべき点なのだろうと痛み入りました。
トラブル事例③見えないクレーム「あんまりよく思ってない人もいるみたいですよ」
ちょうど持ち上がりの学年を担当した時でした。
2学期末の懇談会で、ある保護者からこんな風に聞かれました。
「先生は今年も年賀状を出してくださるんですか?」
「はい。出そうと思っていますよ。」
「そうですか、ありがとうございます。うちの子も去年もらってよろこんでいました。」
「ただ…あんまりよく思ってない人もいるみたいなんですよ…」
「…それはどういう…?」
「誰かとは言えませんけど、送られても迷惑だ、とか、なんでこっちの住所は知ってて、そっちの住所は書かないの?とかおっしゃってる方もおられて…。」
「なるほど…。わかりました。今年は子ども達と相談して確認をとってから、住所も記載するようにして送ることにします。教えていただいてありがとうございました。
もしかするとあるいはこの保護者自身の思いだったのかもしれません。
しかし、少なからず万人にとってよい解決策は難しく、それぞれデメリットが出てしまうものだと改めて考えさせられました。
クラスの子ども達に年賀状を出す利点から考える
トラブルの種になる可能性があるとは言え、クラスの子ども達に年賀状を出すことの利点も考えられますね。
利点①子どもがよろこぶ
単純にもらってうれしい、ということですね。
案外楽しみにしている子もいるようです。
場合によっては催促してくる子もいますね。
子どもとの関係性を少し強いものにしてくれる可能性があります。
先生からもらって、自分も書くことをよろこびとしている子もいます。
そんな子はどんどんと伸ばしてあげたいですね。
利点②保護者への好感
担任の先生から年賀状が来ることで、この担任の先生は熱心だ、丁寧だ、などと思われる、ということですね。
全ての保護者がそう思ってくれるとも限りませんが、好感的に受け取ってくれる方が多いと思います。
一方、やはりそれでも、トラブル事例でもあったように否定的に捉えられる方もいらっしゃいます。
そこは十分に気をつける必要があります。
肯定的に見られるか、否定的に見られるかは、先生と子ども達あるいは保護者との関係性に規定されている部分が大半でしょう。
よかれと思って出しても、嫌われていれば邪魔者扱いされてしまうでしょうね。
また、出さないと逆にこれもまた一定数「出してくれないのか」と残念がったり、不信がったりする保護者もいます。
ここをうまく解消しないと、「去年は出してくれたのに〜」「前の先生はこんな年賀状だった〜」と、際限のない見えない要求に応えていかなくなるかもしれません。
クラスの子ども達に年賀状を出す具体的な方法
これまでのトラブルや具体的な対応を元に、いくつかのポイントごとに見ていきましょう。
子ども達の映った写真を使っていいの?
上記のトラブル事例でも示しましたが、子どもの映った写真を使用すのはやめておいた方がよいでしょう。
- 職務上得た情報の私的流用
- 子ども個人の肖像権の問題
- 不特定多数の目に触れる可能性
などがあげられるからです。
コメントは書く?
一人ひとりにコメントは書いた方がいいのでしょうか?
筆者も数年前には書いていました。
2学期までのがんばりや、3学期にがんばって欲しいことなどを。
けれど、最近は記述式の通知簿も増え、毎学期の所見欄も散見されます。
そこにつけて年賀状1枚1枚にコメントを書いては非常に作業量が多くなってしまいます。
おそらくクラスの子ども達に年賀状を出そうと考えている先生は、サービス業(?)としてやっていることと思います。
その精神は素晴らしく、その想いもきっと子ども達に届くでしょう。
しかしながら、どこまでも際限ないことをやっていくことは教職のブラック化を一層推し進めます。
そして、他の教師との差を生んでしまえば今後、さらにさらにと際限のない見えない要求に応えていかなくなるかもしれません。
自分の住所は記載する?
年賀状に自分の住所は記載するべきでしょうか?
社会通念上では記載するべきでしょう。
仮に送り先に不備があった場合はその年賀の行方がわからなくなります。
けれど自分の個人情報を明かしてしまうこともはばかられる…
こんな風に考えることも致し方ないかと思います。
気に留めない方はそれはそれで結構かと思います。
住所の記載がなければ、子どもやその保護者が返信したくともできない事態も想定されます。
先生としては「返さなくてもいいよ」とのメッセージを含んでいるのでしょうが、返したくても返せないことは結構な心理的負担です。
仕方なく学校に送る、という選択肢もありますが、不特定多数の目に触れる可能性もあり、嫌がる人もいると思いますね。
年賀状を出すために、さまざまな側面を克服するには?
権利面(肖像権や自分の個人情報)・作業面(コメントの有無)・情緒面(もらえてよかった、もらえなくて悲しい)・金銭面(年賀状の金銭的負担)の問題を踏まえ、1つの私なりの解決策があります。
実際に今現在はその方法で取り組んでいます。
年賀ハガキを使わず、ポストカードを使う方法です。
そして切手は貼らず、「年賀」とハンコを押すだけです。
多少手間はかかりますが、宛名は印刷をします。
字が得意な人は手書きも味があってとてもいいと思います。
宛先は書きません。
裏面にはクラスの全員の写真は使いません。
小さな可能性でもトラブルを避けるためですね。
加えてコメントは書きません。
この年賀ハガキは切手を貼らないため、直接手渡しすることになります。
それが1月の始業式の日です。
そして渡す際に一言コメントを言葉で添えてあげるのです。
こうすれば無用な作業量を減らすこともできますし、ポストに投函されているのもいいけど、直接手渡しされるのもなんだか温かみがあっていいと思いませんか?
もちろん、自分の名前は書きますが、住所等は書く必要はありませんね。
まとめると
具体的方法
- ポストカードを使う
- 切手は貼らない
- 「年賀」とハンコを押す
- 宛名(子どもの名前)は書く
- 宛先(子どもの住所)は書かない
- コメントは書かない
- 自分の住所も書かない(名前は書く)
- 裏面に写真は使わない
- 始業式に渡す
以上です。
この方法に変えて数年来、トラブルも経験なく、子ども達からも喜んでもらえています。
年賀状文化が廃れてしまうまでのしばらくは、この方法がよいかな、と思っています。
よかったら参考にしてさい。
1歩でも前に進むために、共にがんばりましょう!
コメント